食品偽装を見破ってみた

巷にあふれる食品偽装をプロの目から見破ってみました

まとめることで上手くいく!?複合原材料って何?

前回は実際の食品表示を見ながら説明と記事に書きましたが、その前に食品表示をスマートにする代わりに何が使われているかわかりにくくしている『複合原材料』について解説したいと思います。『複合原材料とは何か?』というと、いくつかの原材料が複合されたものです。そのままですね。もっと簡単にいうと、「鶏のから揚げ」だったり「ホットケーキミックス」だったりが該当します。例えば、「鶏のから揚げ」は鶏、小麦粉、植物油脂、しょうゆ・・・などが混ざって作られているますが、これを全部表示していると、弁当なんかだといくらスペースがあっても足りなくなってしまいます。なので、なんとなくこんな感じの食品だなとわかるものはまとめて書いていいですよというのが、『複合原材料』になります。

 

実際の表示では、「鶏のから揚げ」として1つの表示になっていたり、「鶏のから揚げ(鶏肉、小麦粉、植物油脂など)」というように使用されている原料で3番目くらいの重さものまで記載されているパターンなどがあります。ここの注意点ですが、『複合原材料』の表示を利用した場合は、確実にその『複合原材料』の部分には食品添加物は記載されていません。これは食品添加物を使用していないのではなく、基本ルール❷の食品素材と食品添加物素材は分けて記載する、に則り、食品の後に記載されることになります。弁当を買うときに、おっこのから揚げ無添加じゃん、って勘違いしないように注意してください。

 

この『複合原材料』のルールにより、メーカー側としては表示に割くスペースを減らすことができるメリットがありますが、消費者側には特にメリットがありません。むしろ、何が入っているのかわかりにくくなってしまうので好ましくありません。実際に『複合原材料』を利用していることで表示がわかりにくくなっているものの代表例が、即席麺になります。即席麺の食品表示は大抵一番最初に「麺」が来ます。もし家に即席麺があれば見ていただきたいのですが、大体この「麺」は『複合原材料』の考えで記載されており、「油揚げ麺(小麦粉、植物油脂、食塩・・・)」などと記載されています。前述のとおり食品添加物が一切入っていないように見えますが、実際は「加工でんぷん」と呼ばれる食品添加物ががっつり使用されていることが多いものの、基本ルール❷に従って食品の後に記載されています。食品添加物は通常使用量が少ないのですが、即席麺の場合だと10%以上入っていることもあるのに、使用量の少ない調味料などの後に記載されるため、あまり入っていないようなイメージを受けます。全体の10%以上が食品添加物と聞くと、食べて大丈夫なの?と心配になりますよね?そもそも、それって食品なの?という疑問も聞こえそうです。でも、心配しないでください。「加工でんぷん」の歴史は古く、十数年前に法改正で食品から食品添加物に変更になっただけで、特に体に毒というわけではありません。むしろ、長時間品質を維持するのに重要な役割を果たしており、加工食品の強い味方となっております。ここでは、『複合原材料』のルールにより使用されている原料がわかりにくくなることがある例として使用させてもらっただけです。即席麺業界では一般的に使用されているようなのですが、この表示方法を考えた人は天才だと思います。その理由は食品表示のルールとはあまり関係のない話なので、何かの折に説明するかもです。

 

で、これの何がいけないのか?ということですが、このルールを悪用すると、使用している食品、食品添加物を合法的に表示から消すことが容易になります。どういうことか?そこについては、次回以降、私が体験した実例を用いて紹介させていただきます。